中核事業|Core Business

EXORPHIAは、細胞外小胞(EV)を体外の胚培養工程に応用する次世代IVF技術を、自社の中核事業として開発しています。
体外の胚培養環境を最適化することを通じて、胚発生・胚質関連指標の改善を図り、体外受精の治療成績向上に貢献することを目指しています。


IVFが直面する課題

晩産化の進行により、高齢で体外受精に臨む患者が増えています。一方で、年齢が上がるにつれて、胚発生や胚質に関わる課題は大きくなり、体外受精が出生につながる割合は低下します。
日本のARTは年間約56万治療周期に及ぶ世界最大級の市場で、治療件数は40歳前後でピークを迎えます。一方で出生率は35歳以降に低下し、40歳前後では約10%まで急減します。年齢・回数の保険要件を背景に、この年齢帯には自費診療のニーズが残ります。
体外受精は多くの患者にとって重要な治療選択肢である一方、その治療成績には依然として大きな改善余地があります。

体外受精の核心的な課題は、採卵しても移植に適格な胚が1つも得られないまま終わる周期が生じることです。この「移植適格胚なし採卵周期率」は、若年で約6.5%に対し、高齢では約42%に達します。加齢の影響が大きいのは、上流の採卵数(卵巣予備能)と、最終の胚培養工程の歩留まり(受精卵→利用可能胚:若年57%・高齢43%)の2点で、中間の成熟・受精の工程は年代差が小さいのが特徴です。

ART領域では良好な精子や胚を「選別」する技術が進展してきました。しかし選別以前に、そもそも利用可能胚が得られないことが高齢IVFの核心です。なかでも胚培養工程は、体外の工程の中で唯一〈年齢の影響を受け、かつ培養条件によって改善しうる〉ステップです。EXORPHIAは、この胚培養工程を中心に、生殖医療の複数工程からアプローチします。

EXORPHIAのアプローチ

EXORPHIAは、細胞外小胞(EV)に着目し、体外の胚培養工程に応用する新たな胚培養技術の開発を進めています。
EXP02は、若く健康なドナー由来の臍帯を起源とする細胞を用いて製造したEVを含む、IVF培地添加剤です。既存の胚培養液に添加して使用することで、胚培養環境の最適化を図り、胚発生・胚質関連指標の改善を目指します。

【本技術の位置づけ】

EXP02は生細胞を含まないIVF培地添加剤です。患者に投与するものではなく、 体外の胚培養工程で、既存の胚培養液に添加して使用します。国内では、既存のIVF培地関連消耗品と同様、 薬機法上の医薬品・医療機器・体外診断用医薬品に該当しないART用培地添加剤としての上市を想定しています。

生殖医療の複数工程に介入するEVポートフォリオ

EXORPHIAは、加齢に伴う不妊の課題に対し、体外の胚培養工程と卵巣機能の双方からアプローチするEVポートフォリオを、中核事業として自社開発しています。
共通のEV製造・品質基盤が、この2つのプログラムを支えます。

EXP02(体外の胚培養工程)

臍帯由来EVを含む無細胞のIVF培地添加剤。既存の胚培養液に添加して胚培養環境を最適化し、利用可能胚の獲得率向上を目指す主力プログラム。

EXP05(卵巣機能)

早発卵巣不全(POI)および卵巣予備能低下(DOR)を対象とする臍帯MSC-EV治療薬候補。加齢に伴う卵巣機能低下という、体外受精成績の上流にある課題にアプローチします。国内での臨床研究を自社で進めながら、その先の開発・事業化はパートナーとの共同開発を視野に、生殖医療領域での価値化を目指します。

生殖医療開発パイプライン

プログラム 技術・製品候補 コンセプト 非臨床研究 臨床
EXP02 臍帯由来EV含有IVF培地添加剤 胚培養環境の最適化を通じて、胚発生・胚質関連指標の改善を目指す主力プログラム(NEDO事業採択)
2027年予定
EXP05 臍帯MSC-EV(卵巣機能) POI・DORを対象に卵巣機能低下へアプローチする治療薬候補(共同開発を視野)
EXP06 卵管上皮由来EV 生体内の初期胚発生を支える卵管環境に着目した、次世代IVF技術候補(東京都事業採択)

非臨床研究

マウス胚を用いた非臨床研究では、EV添加条件において、胚盤胞形成、ハッチング、形態評価等の胚発生・胚質関連指標の改善を示唆する結果が得られています。
EXORPHIAは、これらの知見をもとに、ART施設・アカデミアとの共同研究を通じて、新たな胚培養技術としての有用性、安全性、妊娠・出産転帰への影響を検証していきます。