開発ステージ

当社は2024年4月現在、4つの候補品を9通りの用途で開発しています。候補品は、間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム(EV)の薬効を独自の細胞活性化技術で強化した天然型Prime-EV®のEXP01、EXP02、及びEXP04(ペット用)、ならびに抗原と核酸を搭載した改変型Smart-EVのEXP03です。それぞれの特徴と用途、開発ステージは以下の通りです。

分 類 品 目 領 域 対象 共同研究 探索研究 前臨床 臨床
試験
販売提携
天然型・
Prime-EV®
EXP01 ①肺障害 (IPF, ARDS) 東京大学
2025年
肺以外 ②慢性腎臓病(CKD) 東京医科歯科大学
EXP02 生殖 ③早発卵巣機能不全(POF) 東京大学
改変型・
Smart-EV
EXP03 免疫 ④自己免疫疾患 東京大学
天然型・
Prime-EV®
EXP04 アニマル
ヘルス
⑤慢性腎臓病、心疾患、
腸炎
共立製薬
共立製薬

※各疾患をターゲットとする理由はこちらをご覧下さい。

① EXP01の用途1;肺障害(IPF、ARDS)治療薬

EXP01は、骨髄間葉系幹細胞(MSC)由来のEV 製剤です。当社独自の細胞活性化技術により優れた炎症抑制作用と線維化抑制作用を有しながら、副作用のリスクが低いことが特徴で、炎症性疾患及び線維症を中心に幅広い疾患領域への応用が期待されます。当社はEXP01を、まず肺障害(特発性肺線維症(IPF)および急性呼吸窮迫症候群 (ARDS))に対する治療薬とすべく研究開発を行っています。これまでに非臨床薬理薬効試験、動態、および安全性試験のデータパッケージが完成し、2025年の米国での臨床試験実施に向けて準備を進めています。
また、将来的な国内臨床試験の実施と他の呼吸器疾患への適応拡大を視野に、2024年より東京大学大学院医学系研究科の鹿毛秀宣教授らと共同研究を開始しました。

② EXP01の用途2;慢性腎臓病(CKD)治療薬

CKDは上皮細胞の細胞障害と線維化を主体とした組織変化を伴う疾患です。EXP01は、上皮細胞の細胞死を抑制する作用と線維芽細胞を介した繊維化を抑制する作用を示すことから、対象疾患としてCKDが有望であると考えられます。そこで当社は、臨床での薬効予測性が高い評価系である、CKD患者由来の尿細管上皮細胞オルガノイドの開発者である東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の森雄太郎助教らと2024年より共同研究を開始しました。森助教らの構築したCKD 患者由来のオルガノイドを用いて、効率的かつ臨床予測性の高い有効性評価を実施します。

③ EXP02の用途;生殖領域、不妊治療(早発卵巣機能不全(POF)治療薬)

EXP02は、臍帯MSC由来のEV製剤です。当社独自製法により、卵胞の発生に重要な分子群を豊富に含んでいます。 抗がん剤で卵巣機能を低下させたモデルマウスにEXP02を投与したところ、一定の機能改善が認められたため、POFに対する治療薬としての開発を視野に探索研究を進めています。
この開発では、東京大学医科学研究所附属病院の長村登紀子准教授から臍帯MSCの供与を受け、東京大学大学院医学系研究科の熊澤惠一准教授から研究に関する助言を受けています。

④ EXP03の用途; 自己免疫疾患治療薬

EXP03は、EVに搭載する抗原と核酸のデザインによって、免疫を自在に制御することを目指した改変型EV「Smart-EV」の最初の候補品です。東京大学医科学研究所の石井健教授と、東京大学大学院医学系研究科の小嶋良輔准教授との共同研究により、特定の自己免疫疾患をターゲットに定めて試作及び評価を進めています。

⑤ EXP04の用途:ペット(ネコ、イヌ)疾患治療薬

EXP04は、ペット向け医薬品候補として評価を進めるMSC由来EV 製剤です。共立ホールディングス株式会社及び共立製薬株式会社との共同開発契約に基づき、ネコおよびイヌの医療でニーズの高い、慢性腎臓病、心疾患、および腸炎を対象とした、非臨床での評価を進めています。将来的には動物用医薬としての製造販売承認申請を視野に入れています。