ART領域への応用を支えるEV製造・品質管理基盤

EXORPHIAは、細胞外小胞(EV)の製造、精製、品質管理に関する技術基盤を構築し、生殖補助医療(ART)領域を中心とした応用開発を進めています。
EVは、由来細胞、培養条件、精製方法、保存条件などにより品質特性が変化する複雑な粒子群です。EXORPHIAは、原料細胞の選定から細胞培養、EV精製、品質評価までを一体的に設計することで、用途に応じたEV製品・技術の安定的な開発を目指しています。

1.細胞培養
   Upstream Process

     

最適な細胞ソースから、目的に応じたEVを安定的に生産する

EVの品質は、原料となる細胞の特性に大きく影響されます。EXORPHIAは、目的とする用途に応じて最適なドナーおよび細胞ソースを選定し、品質特性が管理されたセルバンクを活用したEV製造基盤を構築しています。
細胞培養工程では、目的とするEVを効率よく、かつ安定的に産生するための独自の培養技術を確立しています。本技術は、細胞の状態、培養条件、培養期間、培地組成などを制御することで、ロット間差を抑えながら、用途に適したEVを再現性高く製造することを目的としています。

2.精製
   Downstream Process

     

細胞培養上清から、EV成分を高純度に分離する

細胞培養によって得られる培養上清には、EVのほか、タンパク質、核酸、培地由来成分、細胞由来不純物などが含まれます。EVを研究開発および製品応用に用いるためには、目的とするEV成分を適切に分離・濃縮し、不要な成分を管理する精製工程が重要です。
EXORPHIAは、細胞培養上清からEVを含む目的画分を高純度に分離する精製技術を構築しています。精製工程では、EVの粒子特性を保持しながら、不純物を低減し、用途ごとに求められる品質に適合することを目指しています。
このダウンストリーム技術により、研究用評価から臨床研究・事業化を見据えた供給まで、段階に応じたEV製造を支える基盤を整備しています。

3.品質管理
   Quality Control

     

EVの特性を踏まえ、用途ごとに品質を定義する

EVは単一分子ではなく、サイズ、粒子数、タンパク質、脂質、RNA、表面マーカーなど複数の品質特性を持つ粒子集団です。そのため、EVの開発では、用途ごとに重要となる品質特性を定義し、ロット間差を管理することが不可欠です。
EXORPHIAは、EVの粒子特性、純度、安全性、一貫性を評価する分析法を組み合わせ、用途ごとの作用メカニズムおよび要求品質に基づく規格設定を進めています。
品質管理では、粒子径分布、粒子数、タンパク質量、EVマーカー、無菌性、エンドトキシン、pH、浸透圧などの評価項目を組み合わせ、用途に応じたEVの品質を多面的に確認します。
これにより、原料細胞、培養工程、精製工程、保存条件の違いがEV品質に与える影響を把握し、再現性の高いEV製造・開発を支えています。

Integrated EV Platform

EXORPHIAの技術基盤は、細胞培養、精製、品質管理を個別の工程として扱うのではなく、一体の開発プロセスとして設計されています。
原料細胞の選定からEVの製造・精製・分析までを統合的に管理することで、用途に応じたEVの品質を定義し、安定供給と製品開発の両立を目指します。
この統合的なEV開発基盤により、EXORPHIAはART領域における次世代胚培養技術を中心に、EVの社会実装に取り組んでいます。

安心・安全への取り組み

国内外でEVの臨床応用が進むにつれて、その安全性や規制への関心が高まっています。当社では、安心・安全なEVの臨床応用に向けて、以下のような取り組みを行っています。

製造および品質の管理

EVの品質を確保するためには、一貫した製造プロセスと徹底した品質管理が欠かせません。当社では国内外のガイダンスや学会提言を参照し、厳格な製造・品質管理戦略を構築しています。

非臨床試験および臨床試験の実施

安全性および有効性の評価のためには、非臨床試験および臨床試験が必要です。適切に設計された臨床試験等を通じて、EVの安全性および有効性を明らかにし、患者様はもちろん、医療従事者や研究者にも安心して使っていただける品質を目指しています。当社には製薬企業出身の研究者や医学・薬学のPhD取得者が多数在籍しており、非臨床試験および臨床試験を適切に進める体制を整えています。

法規制遵守と倫理審査

EVの臨床応用に関しては、国の法規制や倫理的なガイドラインに従う必要があります。当社では、適切な規制と倫理基準を守りながら研究および臨床応用を進めるために、薬機法の専門家や外部アドバイザーを擁し、関連法規制を遵守する体制を整えています。また、定期的な倫理審査委員会を開催し、倫理面の入念な検討を行っています。

研究環境

自社ラボ

当社は交通至便な大手町ビル内のInspired. Labにあります。Inspired. Labは、カフェラウンジ、ライブラリー及びイベント・スペースを備えたイノベーション・スペースです。新規事業創出に取り組む大企業と先端テクノロジーを持ったスタートアップが同居しており、各種部活動や交流イベントに参加することで、同質的なネットワークから飛び出し、ユニークな出会いの機会が得られます。

当社はこのInspired. Labの一角に、丸の内・大手町エリア初のウェットラボを構えています。都心にもかかわらず、細胞培養、EVの精製・分析、BSL2実験などが可能です。また、地下鉄大手町駅直結のロケーションを活かし、近隣の医学系大学との共同研究を通じて動物実験施設や共通機器を利用し、資金効率と生産性を高めています。

2024年1月には、EV製造用に清浄度の高いクリーンルームを設置し、運用を開始しました。現在、バイオ医薬品製造で実績のある製造委託先(CDMO)と連携して、治験薬GMP体制の整備を進めています。

研究体制

当社では、大手製薬企業やバイオベンチャーで豊富な実務経験を積んだ研究者が、それぞれの高い専門性を持ち寄って共通の目標に向かって切磋琢磨しています。さらに、特定の大学や研究者に限定することなく、基礎または臨床における領域トップの研究者との共同研究を行うことによって、研究生産性を高め、同時に、社内研究員のスキルアップの機会を提供しています。

コンプライアンス

当社は、研究開発が科学的・倫理的観点から適正に行われ、社会の信頼に応えられるようにするため、研究に関する以下の取り組みを整備し、適切な運営に努めています。

委員会の設置

社外委員を含めた以下2つの委員会を設置しています。委員会は、法令、指針及び社内規定に照らして、研究内容の科学面、倫理・コンプライアンス面、並びに当社における実験の安全確保の状況を審査します。

(1)研究倫理審査委員会:当社におけるヒト試料等を扱う研究を審査します。研究倫理審査委員会の概要・議事録は、厚生労働省HP「研究倫理審査委員会報告システム」で公開しています。

(2)遺伝子組換え実験安全委員会:当社における遺伝子組換え実験の安全確保を目的に、実験計画、実験施設、教育訓練及び健康管理、事故発生時の処置等に関する事項について調査、審議します。
※委員、規程を公開予定

研究倫理規程の制定と企業文化へのインストール

当社の研究開発に携わるすべての従業員が、科学研究のあるべき姿や良心に従って研究活動を遂行するよう、不断に自覚し遵守すべき規範として「研究倫理規程」を制定し、研修の受講を義務づけています。さらに、経営陣及びマネージャーは、普段から従業員の心理的安全性の確保に努め、社内でデータ・エビデンスに基づいた活発な議論がなされるよう企業文化の醸成に努めています。(Our Value参照